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2015年 09月 16日
藪入り ③
それらの品物だけでなく、一月にはお年玉、七月には先祖の墓の供養代と称して、丁稚と下女に十匁ほどの小遣いをくれる。
藪入りだからといって、丁稚に手当を出すような商家は少ないのだが、山代屋では先代の月照が、これを始めた。
藪入り ③_d0101133_12291547.jpg
丁稚が惨めな思いをせず、堂々と胸を張って里帰りできるようにという配慮なのであった。
銭を持って帰れば、どんなときでも大歓迎されるということを、大和の貧農の倅だった月照はよく知っていたのである。



富樫倫太郎
堂島物語
第一部 堂島
より





by yositake-uee | 2015-09-16 12:13 | ボクノオボエガキ


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